屋根カバー工事(重ね葺き工事)は、既存の屋根材を撤去せずに新しい屋根材を上から施工する方法です。
既存屋根の上に載せるため廃材処分費がかからず、短工期で施工できるのが特徴です。

屋根カバー工事の工法

1.下地の確認・補修

まず既存の屋根(屋根材)の状態をチェックします。野地板やルーフィング(防水シート)の損傷、劣化具合を確認します。
ここでもし腐食や雨漏りがある場合は、野地板増し張りなど、必要な補修をしていきます。

2.防水シート(ルーフィング)の施工

既存屋根の上に新たに防水シートを敷き直します。

3.新規屋根材の施工

アスファルトシングルやガルバリウム鋼板は軽量で防水性に優れるため、カバー工法でよく使われます。

アスファルトシングル:無機系の基材にアスファルトを塗った板状の屋根材で、「シングル」とも呼ばれています。 シート状になっており、軽量で加工しやすく、デザイン性や機能性に優れた屋根材です。施工は専用接着材や釘で留めていきます。
ガルバニウム鋼板:ガルバリウム鋼板は金属であるにもかかわらず、錆びに強い性能を持ちます。 つまり、雨や雪による外傷は少なく、錆びは滅多にありません。そして横葺きや立平葺きなど工法が選べるのも特徴です。軽量なので地震のリスクに対しても有効と言えます。

4.役物取り付け

役物取り付け(工事)とは、屋根材のつなぎ目や端部などから雨水の侵入を防ぎ、雨仕舞を良好にするために板金部品を取り付けることを言います。専門的な技術と知識、経験が必要で、屋根の耐久性や機能性を最大限に引き出すために重要な工程です。

屋根カバー工事の注意点

  • 屋根カバー工法は既存屋根の上に載せるため「軽量屋根材」でなくてはならず、重たい瓦屋根には基本的に施工できません。
  • 下地が腐っている状態でカバーすると、将来雨漏りや屋根材の浮きにつながることがあるので、まず調査時に屋根の状態(野地板や防水シートの劣化など)を認識合わせした方が良いでしょう。
  • 既存屋根の撤去が不要なので廃材処分費がかからず費用を抑えられるのはメリットですが、次回リフォーム時には「屋根が二重」になっているため撤去費用が割高になることを頭に入れておきましょう。

どっちが良いの?「アスファルトシングル」「ガルバニウム鋼板」比較

実際どちらの屋根材が良いか。それぞれの特徴を比較してみます。

アスファルトシングルガルバニウム鋼板
耐久性約20〜30年。紫外線・苔に弱め約30〜40年。サビに強く長寿命
重量軽量(スレートより軽い)非常に軽量(屋根材の中でもトップクラス)
デザイン性カラーバリエーション豊富。洋風・アメリカン住宅に合うシンプル・スタイリッシュ。和洋問わず合わせやすい
防音性雨音が小さい(柔らかい材質のため)雨音が響きやすい(下地や断熱材で対策可能)
断熱性やや高い(材質が柔らかいため熱を伝えにくい)金属のため熱を伝えやすい。遮熱鋼板や断熱材付きで対策可能
耐風性強風で剥がれやすいことがある強風に強い(施工方法により差あり)
施工性柔らかく施工しやすい。複雑な屋根形状に対応可加工性が高いが、職人の技術に左右されやすい
メンテナンス性苔・カビが付きやすい。定期点検必要錆に強く比較的メンテナンス性良好
コスト材料費・施工費ともに比較的安価アスファルトシングルより高めだが、寿命を考えるとコスパ良し
向いている住宅デザイン重視、費用を抑えたい場合長期耐久・メンテナンス性を重視する場合

ざっくりまとめると、

アスファルトシングルは「デザイン性・費用重視」

ガルバニウム鋼板は「耐久性・長期的コスト重視」

というイメージです。

『屋根カバー工事』工法と注意点【まとめ】

屋根カバー工事は、廃材処分費を抑えつつ短工期で施工できるメリットがありますが、下地の状態確認・防水処理などを怠ると、せっかくの工事が数年で不具合につながってしまいます。各工程は技術に左右されるものが多く、経験豊富で的確なアドバイスをしてくれる施工業者を選ぶことが重要でしょう。